MARKET NOTE
AI時代に、なぜPOPUPの価値が高まるのか
オンライン広告から“リアルな証拠”の時代へ
AIの普及によって、マーケティングの前提が少しずつ変わり始めています。
広告文、SNS投稿、商品説明、比較記事、レビュー風の文章。これらは今後、誰でも短時間で作れるようになります。
情報を作ること自体のコストは下がります。一方で、情報が増えすぎることで、生活者はこう感じるようになります。
- これは本当に良い商品なのか
- 実際に使った人はどう感じているのか
- 似た商品と比べて、何が違うのか
- 価格に見合う価値はあるのか
- 広告ではなく、リアルな反応はどうなのか
AI時代のマーケティングでは、きれいな表現を増やすだけでは足りません。むしろ、確認できる根拠や、実際の顧客反応の価値が高まっていくと考えています。
※実数ではなく、変化の方向性を示すイメージ図です。
情報が増えるほど、「本当かどうか」が問われる
AIによって、企業も個人も、以前より簡単に情報を発信できるようになります。これは良い面もあります。小さなブランドでも、商品説明、SNS投稿、記事、動画台本を作りやすくなるからです。
しかし同時に、似たような表現、きれいに整えられた文章、実体験があるのか分かりにくい情報も増えていきます。
そうなると、生活者が求めるものは変わります。より派手なコピーではなく、より整った文章でもなく、本当に信じてよい理由です。
これからのマーケティングでは、「よく見せること」だけではなく、「本当にそう言える根拠を持つこと」が重要になります。
従来の広告は、探す手間を減らしていた
もともと広告には、商品を知らせる役割がありました。どこに何が売っているのか。どんな特徴があるのか。どのブランドが信頼できそうか。
広告は、生活者が商品を探し、比較する手間を減らしていました。つまり従来の広告の重要な役割の一つは、生活者の探索コストを下げることでした。
しかし今後は、AIがその役割の一部を担うようになります。人が検索して探すのではなく、AIに相談し、AIが候補を整理し、比較する。そういう購買行動が少しずつ増えていきます。
検索から、AIによるリサーチへ
これまでの購買行動は、検索を中心に動いていました。検索する。比較する。レビューを見る。広告やブランドを見て判断する。
しかしAIが普及すると、生活者は検索窓に単語を入れるのではなく、最初からAIに相談するようになります。
- この商品は自分に合っているのか
- プレゼントに選んでも失礼がないか
- 似た商品と比べて、どこが違うのか
- 高く見えるけれど、その理由はあるのか
- 実際に買った人はどう感じているのか
AIは、表面的なキャッチコピーだけではなく、商品情報、レビュー、よくある質問、比較情報、実績、顧客の声などをもとに答えを組み立てます。
つまり、これからオンラインで重要になるのは、派手な表現ではなく、AIにも人にも理解できる情報を積み重ねることです。
従来
- 検索
- 比較
- レビュー確認
- 広告・ブランドで判断
- 購入
AI時代
- AIに相談
- AIが比較・要約
- 根拠を確認
- 購入
SEOから、AIに選ばれる情報設計へ
これまでオンラインマーケティングでは、Google検索で上位に表示されることが重要でした。検索される。上位に表示される。クリックされる。サイトに訪問してもらう。この流れが、従来のSEOの基本でした。
しかし、Google検索にAIによる要約が表示されるようになると、この前提は変わり始めています。
Pew Research Centerの調査では、Google検索でAI要約が表示された場合、ユーザーが通常の検索結果リンクをクリックした割合は8%。AI要約が表示されなかった場合は15%でした。
AI要約が表示されると、通常検索結果へのクリック率が下がる傾向があると報告されています。
出典:Pew Research Center, 2025
Ahrefsの調査でも、AI Overviewが表示される検索では、検索1位ページのクリック率が約34.5%低下したと報告されています。
また、Wikipediaを対象にした研究では、Google AI Overviewの表示によって、対象記事への日次トラフィックが約15%減少したと推定されています。
これは「SEOが終わる」という話ではありません。むしろ、SEOの意味が変わり始めているということです。
これからは、検索で上位に出るだけでは十分ではありません。AIが答えを作るときに、候補として拾われる。根拠として参照される。比較材料として使われる。そのための情報設計が重要になります。
AI検索で選ばれるために、企業は何を整えるべきか
AI検索で選ばれるために必要なのは、AIをだます裏技ではありません。必要なのは、商品やブランドについて、AIにも人にも分かる形で情報を整えておくことです。
たとえば、商品の基本情報を分かりやすくすること。価格、内容量、使い方、対象者、素材、賞味期限、配送、注意点などを曖昧にしないことです。
消費者目線の疑問に答えることも大切です。自分用に向いているのか、ギフトに使えるのか、他の商品と何が違うのか、価格が高い理由は何か。こうした問いに先回りして答える必要があります。
AIは商品を単独で見るのではなく、似た商品と比較して答えます。だからこそ、違い、強み、向いている人、向いていない人を、事実ベースで整理することが大切です。
レビュー、掲載実績、販売実績、お客様の声、導入事例、POPUPでの反応。自社が言っていることだけでなく、外から見ても分かる根拠が信頼につながります。
サイトのタイトル、見出し、商品説明、画像の説明、問い合わせ導線を分かりやすく整える。専門的な技術以前に、まずは人にもAIにも読みやすいページであることが重要です。
オンラインで必要になること、オフラインで大事になること
AI時代のマーケティングでは、オンラインとオフラインの役割が少し変わっていきます。
オンラインで必要なのは、AIにも人にも理解できる情報を整えることです。商品情報、よくある質問、他の商品との違い、お客様の声、販売実績、記事や動画での説明。こうした情報を、分かりやすく、一貫して発信することが重要になります。
一方で、オフラインで大事になるのは、実際の売場で起きた反応です。人が商品を見た。手に取った。質問した。迷った。買った。買わなかった。こうしたリアルな反応は、机の上だけでは分かりません。
オンラインで信頼される情報を整えるためには、オフラインで実際に起きた反応を集めることが必要になります。
オンラインで整えるもの
- 商品情報
- FAQ
- 比較情報
- レビュー
- 実績
- 記事
- 動画
オフラインで得るもの
- 売場反応
- 質問
- 購入理由
- 買わなかった理由
- 写真
- 接客メモ
POPUPは、販売だけでなく“証拠”を生む場所になる
POPUPの価値は、売上だけではありません。どの商品が選ばれたのか。どんな質問が多かったのか。どこで購入を迷われたのか。価格はどう受け止められたのか。売場の見せ方は伝わっていたのか。
こうした情報は、次の商品改善、売場づくり、ECページ、SNS発信に活かすことができます。
AI時代に必要なのは、誇張された言葉ではなく、実際に顧客と接したことで得られる根拠です。オンラインでは、AIにも人にも理解される情報を整える。オフラインでは、その情報の元になるリアルな反応を集める。この2つが、これからのマーケティングではより重要になると考えています。
まちかどマーケットラボの考え方
まちかどマーケットラボでは、POPUPを単なる短期販売ではなく、次につながるマーケティングの場として考えています。
売って終わりではなく、売場で得られた反応を整理し、次回出店や商品構成、売場づくり、オンライン発信に活かす。
AIによって情報が増える時代だからこそ、リアルな売場で得られる確かな反応は、これまで以上に重要になると考えています。
POPUPは、商品を売る場所であると同時に、ブランドが次の一歩を考えるための現場でもあります。
参考リンク
- Pew Research Center
Google検索でAI要約が表示された場合、通常検索結果へのクリック率が8%に下がったという調査。AI要約がない場合は15%。
- Ahrefs
AI Overviewが表示される検索では、検索1位ページのクリック率が約34.5%低下したという調査。
- Wikipedia対象研究
Google AI Overviewの表示により、Wikipedia記事への日次トラフィックが約15%減少したと推定した研究。
- Google Search Central
生成AI検索でも、基本的なSEO、ユーザーに役立つコンテンツ、クロール可能性、明確な構造が重要と説明している公式ガイド。
- Bing Webmaster Guidelines
Bing検索、Copilot、AI回答の根拠・引用に使われるためのガイドライン。
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